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ウィーン民衆劇の俳優ネストロイ

今回は一般的な観光から少し脇道に逸れますが、ウィーンの文化を理解しようとしたときには避けては通れない内容だと思います。

撮影は2005年頃、時間は夜、場所はウィーン2区のネストロイ広場、地下鉄U1号線の「 Nestroyplatz 」駅界隈です。
ウィーン民衆劇の俳優ネストロイ像


この像は、フェルディナンド・ライムントと共にビーダーマイヤー時代を担った喜劇作家ヨハン・ネストロイです。ネストロイは、圧政とも言えるウィーン体制下であっても、舞台上が無礼講だった頃のスーパーヒーロー喜劇役者でした。

路上カフェの喧噪の前に立つ愛嬌いっぱいのネストロイ像を見上げると、産業革命後のウィーンにおける中産階級勃興の時代が感じられます。

 

ネストロイや一世代前のライムントは、毎年大晦日にフォルクスオペラで上演される喜歌劇「こうもり」の中で酔っ払った看守役が舞台上で言いたい放題やりたい放題で劇場内を爆笑の渦で満たす雰囲気が、実はその半世紀前のウィーンから始まっていたこと、その場所がブルボンの後に出現したナポレオンの「フランス」に対するハプスブルクの「オーストリア」、つまりウィーンであったことを感じさせてくれる存在です。

同じ頃にウィーンで活躍した画家のヴァルトミュラーの絵には文学家グリルパルツァーと共存できるような品格が漂うのに比べ、ネストロイには同じ中産階級でも銀行の頭取のようなブルジョアとは異なる、ウィーンを底辺で支え続けた本当の一般庶民の姿が感じられます。
 

ウィーンが好きでウィーンに興味を持ったお客様が何回もウィーンに来て、観光ガイドとしてお供したときには、こんなお話しをすることもあります。

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